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第59話 『魔天』(第八号)

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    週刊「帰還限界点 連載小説」

☆============================= 第59号 (2009/03/01)=====


『魔天』(第八号)


★連載1〈義経の首塚を追え〉第8回
「イザ」と言う言葉から連想してしまった事は……
「伊邪那岐命」と「伊邪那美命」であった。
「イザ……ナギ?」
そしてそれを口にした時、空気が震え、草が、森が、山が揺れ
た。そして今まで眼前に聳え立っていた石柱は地面に轟音とと
もに飲み込まれていった。轟音は未だ続く。飲み込まれた石柱
から放射状に八方から石柱が生えてきたのだ。八本の石柱が天
を突いた後、再び中央の石柱が生えてきたのだ。この時、封印
は解けたということなのだろう。この山の何かが変わっていた。
何よりあの黒い存在が、中央の石柱の下に足を抱え座っている
のだ。先程までとは訴え方が違っていた。記者は何かを感じ、
黒い存在の前にしゃがみ込んだ。すると、声が再び聞こえてき
たのだ。
「私は死してなお存在している……これもイザナギが死後の世
界を作ってしまったせいだ……」
この存在が何者なのかはわからない。しかしこの地に留まっ
ている事とこの石柱群があることと関連させて考えてしまうの
はどうしても仕方が無い。
「貴女は私の誘いによってここまで辿りついた。ここが何処な
のかも知らずに……」
記者は疑問をそのまま言葉にしていた。
「貴女は何者なの?」
と……。そして彼女は言ったのだ。
「私は伊邪那美……原初の二人にして世界で初めて死んだ者、
最初に死人(死にながら生きている者)となった者……」
彼女は、そして語りだした。         (つづく)

記者 御名神


★連載2〈南極の氷塊にうもれたミイラの謎〉第8回
前回、水晶球に〈Ark:アーク〉と名づけた我々は、更に研究を
重ねていった。Arkの中には一体何が隠されているのか……それ
を突き止める為に。だが、Arkの中にあるものを突き止めるのに
さしたる時間は要さなかった。エーテル、アストラル、イデア
ルの三層に、まるで赤子を包む産着の様に大切に包み込まれ守
られていたのは、〈永久原子〉と呼ばれるものであった。
永久原子……資料記憶装置のごとく、過去のすべての生命体験
を内在しており、どんな特殊な受肉に際しても過去の自らの肉
体を再生させる事ができる、固体の資質を決定付けているもの
……それが、我々の見解であった。我々は当初、それはDNAのよ
うなものであろうと考えていた。しかし、DNAは〈物質的な肉体〉
を構成させるためのものであり、永久原子はそのDNAすら書き換
える力を持っている事が解ったのだ。
この時、我々は神への道程を見た気がした。だが、我々はまだ
神への道を辿ろうとは思わない。純粋に新しい技術を求めてい
た。いや、だがしかし、それは結局の所人間が神の力に触れる
事に他ならないのではないのか……。原初の人アダムは古き蛇
に唆されたエバとともに知恵の実口にした。我々は今、神がア
ダムらが楽園を追放される原因となった、生命の実を口にしよ
うとしているのかもしれない。         (つづく)

記者 永瀬


★連載3〈神代オカルト調査ファイル〉第2回
『妣の力(ハハノチカラ)』
日本神話に頻繁に登場する装身具がある。それは〈櫛〉だ。
日本神話に初めて櫛が登場したのは、伊邪那岐命の黄泉下りの
節。死んだ妻を追って黄泉に行ったイザナギは伊邪那美命に出
会うも、約束を破り黄泉の国から追われる事となる。その際、
追手としてイザナミより黄泉醜女と雷という化け物が放たれた。
それより脱するため、イザナギは櫛を投げつけ、化け物の気を
逸らしたとされる。
民俗学者の柳田國男によれば、これを「櫛に象徴される妣の
力による加護」としている。男性神が櫛のような装身具を身に
付ける逸話はまだある。八俣遠呂智を倒した素差戔鳴男命は櫛
名田比売をその名の通り、櫛に変えて身に付けて戦ったとされ
る。とはいえ、男性神が櫛のような装身具を身に付ける神話は
さほど多くないともいえる。これは古代の日本が母権社会であ
ったことを表す証拠であるとの見解もある。また古代の男達は、
妣の力の加護を得ようとしていたのかもしれない。
また近代では〈女性の陰毛〉等がある。これは文字通りの物で、
古来日本では、女性の陰毛は特別な力があるとされていた。戦
時中、死地に赴く兵士は恋人の陰毛を弾除けの御守りとして持
っていたとの話しもある。
これらから思うに、女性は男性を守り庇護する力を持ってい
るとされ、古代よりその力を得るため、男性が女性の装身具を
身に付ける行為に繋がっていったのだろう。

記者 新堂


★信者募集!
カルトNo007 青狼団(ブルー・ウルヴズ)
代表:不明
活動地区:不明
1991年以前に日本国内で結成された「黒魔術」集団。
英国、ドイツなどの伝統的儀式魔術を研究、実践する他、国内
の邪悪な諸力を封じ込める事を使命とした戦死僧集団でもある。
当時の団員数は十三名。

え~、最近、信者募集の応募が少なかったので、現実世界に存
在する黒魔術集団さんを紹介させていただきます。もし、団員
の方が見てらっしゃったらゴメンなさい。「魔導書ソロモン王
の鍵」の著者紹介を引用させていただきました。ホームページ
とか持ってましたら、御挨拶させて頂きます。

記者:藤守



(つづく)

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