帰還不能のシェアードワールド。小説、イラスト、詩、音楽、映像、服飾、様々なジャンルの参加を待ってます!

第48話 原初灯

☆======================================================

    週刊「帰還限界点 連載小説」

☆============================= 第48号 (2009/02/09)=====


『三人』(第八話 -3- 原初灯)


新堂は、話しをしながら過去の記憶が蘇っていくのを感じて
いた。
そう、全ては南極に致命的な亀裂が入った西暦二〇〇六年ま
で遡る。その時世界の各国、企業がこぞって亀裂の調査に乗り
出していた。
その中に、現在の〈SSH(セブン・ストレータル・へヴン )〉
の母体となった企業……
いや、企業と呼べるモノなど何も無かった小さな地方出版会社
〈パンデモニウム(P)・プロジェクト(P)・チーム(T)〉の三
人がいた。
そして彼らは亀裂の中で発見したのだ。三つの水晶球がはめ込
まれた王冠を……

何故こんな所にこんな物が?

皆、不思議に思い、それを回収してきた。
当然、それを公表すれば世界的な大発見だったろうが、PPT
のメンバーはそうしなかった。なぜならその中の一人が気付い
てしまったからだ。その王冠には三つの意志が込められている
ことに……
それらの意志は三人に囁きかけてきた。

「我ヲ手ニセヨ、汝ニ光ノ軍団ヲ与エン……」

「我ヲ手ニセヨ、汝ニ天ヲ覆ス力ヲ与エン……」

「我ヲ手ニセヨ、汝ニ混沌ヲ統ベル力ヲ与エン……」

それぞれにそれぞれの意志を伝えてきたのだ。三つの意志はそ
れぞれが反する意思を内在していた。しかし三人はそれらの意
志にそのまま従いはしなかった。
三人はその王冠……とりわけ、意思を伝えてきたと目される水
晶球の研究を始めたのだった。研究は思いのほかあっさりと……
いや、まるでそれらの水晶球が三人に自分たちの事を教えるか
のように、それらが何であるかを突き止めることができた。
水晶球は、いわば棺だった……
まず、外層は万物にそれを存在せしめているエネルギーである
〈エーテル〉の結晶体で構成され、その内部には〈アストラル〉
と呼ばれる思考、感情、欲望を生み出す層があった。そして更
にその深層には〈イデアル〉と呼ばれる意志そのものの層があ
り、エーテルとアストラルを保持していた。
これらの三層により、一体何が覆い隠されているのか……水晶
球はまるでモーゼの十戒を収めた聖櫃のようである印象を受け
た三人は、水晶球に〈Ark(アーク)〉と名づけた。
その後、三人がArkの中にあるものを突き止めるのにさした
る時間は要さなかった。
まるで赤子を包む産着の様に大切に包み込まれ守られていたの
は、〈永久原子〉と呼ばれるものであった。
永久原子……資料記憶装置のごとく、過去のすべての生命体験
を内在しており、どんな特殊な受肉に際しても過去の自らの肉
体を再生させる事ができる、固体の資質を決定付けているもの、
である。
三人は、はじめそれはDNAのようなものであろうと考えてい
た。しかし、DNAは〈物質的な肉体〉を構成させるためのも
のであり、永久原子はそのDNAすら書き換える力を持ってい
る事が解ったのだ。
この時、三人は神への道程を見てしまった。しかし三人はまだ
神への道を辿ろうとはしなかった。
三人は「光ノ軍団ヲ……」と語ったArkに〈オリジナルM〉
と名づけ、「天ヲ覆ス力ヲ……」と語ったArkに〈オリジナ
ルS〉と名づけ、「混沌ヲ統ベル力ヲ……」と語ったArkに
〈オリジナルL〉と名づけ、Arkを更に研究していった。そ
してそこから得られた知識や技術を応用しはじめた。メディカ
ルテクノロジー、バイオテクノロジー、コンピューターテクノ
ロジー等々、様々な新技術を世に出し続けていった。すべては
Arkの恩恵であった。
PPTは何時の間にか大企業となっていた。
しかしここに至って、三人のうちの一人、〈永瀬(ながせ) 光
(ひかる)〉がとうとう意志の実行を始めたのだ。永瀬が触れた
のは……いや、彼に触れてきたのはオリジナルMだったのだ。
その時から永瀬光は暴走を始めていた。まだ本格的に接触され
ていなかったオリジナルL・Sを持ち出し、直轄の技術開発部
三課でArkに受肉させる実験が行われていった。しかし、い
ずれも失敗に終わった。Arkでは何故かどのような肉体を与
えても受肉がされなかった。エーテルもアストラルもイデアル
も展開されず、永久原子が覆い隠されたままだったのだ。
しかし、それも二人目の研究参入で解決した。いや、別な道を
見出したと言うべきか。藤守ミサヲの手によりArkのコピー
が完成したのだ。コピーは〈A‐Om〉、〈A‐Os〉、〈A
‐Ol〉と名づけられ、更にそれらを交配させる事で〈Adv
anced Ark〉……
通称〈AA(ダブルA)〉をコアとした〈Aシリーズ〉を次々完
成させていった。勿論、失敗作も膨大な量となっていったのだ
が……
また、開発の過程でオリジナルMのみがデジタルデータ上で展
開されることも発見したのだった。この発見により、オリジナ
ルMを核とした次世代コンピュータの開発に成功。〈ミカエル〉
と名づけられたそれは、文字通り解き放たれた。ミカエルはA
シリーズで特に力をもっていた六体―ガブリエル、ラファエル、
ウリエル、ラグエル、サラカエル、レミエル―を自らの〈マテ
リアルボディ〉に組み込み、更にそれぞれに役割を持たせてい
った。
そう……
それはまさに天界の再臨。〈七層からなる天界(セブン・ストレ
ータル・ヘヴン)〉であった。
これを契機に、PPTはSSHと名称を変更。同時にAシリー
ズの公開をした。ミカエルの世界各国の核兵器へのシステムハ
ッキングという形で……
SSHが世界の……いや地球の運命を握り締めるのに一時間す
らかからなかった。
ここに至って、残った二人……新堂真と藤守ミサヲも永瀬の暴
走を止めに入った。しかしそこで二人が知ったのは永瀬の意志
が奪われていた事だった。
二人は永瀬を救えなかった。それどころか二人はSSHの歯車
の一つとして生きることを余儀なくされる。ミカエルは二人の
命よりも大切な〈者〉を奪っていたのだ。DWの鍵という人質
として……
二人はミカエルの望み通りDWを完成させる。しかし、彼らも
そのまま黙っているわけにはいかなかった。テストプレーを必
要とする事をミカエルに上申した。DW内に全てをデジタライ
ズされ、鍵として生かされている一人の女性を救うために……
それを知ってか知らずか……いや、知っていたのだろう。ミカ
エルはあっさりとその上申を受け入れた。二人が何かをしても
即座に対応できるという自信から来るためか、それとも二人が
何かをする事も計算のうちなのか……様々な憶測が二人を過ぎ
ったが、もう後戻りはできなかった。後戻りをするつもりもな
かった。
二人の戦いはこの時始まったのだった。



(つづく)

☆お知らせ==============================================

〈エーテル〉〈アストラル〉〈イデアル〉〈Ark(アーク)〉
〈永久原子〉〈永瀬 光〉〈オリジナルM〉〈オリジナルS〉
〈オリジナルL〉
〈A‐Om〉〈A‐Os〉〈A‐Ol〉
〈Advanced Ark〉〈AA(ダブルA)〉〈Aシリーズ〉
〈マテリアルボディ〉〈二人の命よりも大切な者〉
の情報を追加です!

キャラ説明http://otjyuku.net/pon/chara.html
キーワードhttp://otjyuku.net/pon/faq.html


掲示板に書き込みをしよう!
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/6204/

mixiのIDをお持ちの方は是非ごメッセージをくださいね!
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=3747038

ご感想・お問い合わせはコチラのフォームからお願いします
http://www.formpro.jp/form.php?fid=36224

☆参考文献==============================================

八百万の神々―日本の神霊たちのプロフィール   戸部 民夫
価格:¥ 1,995(定価:¥ 1,995)
http://www.amazon.co.jp/dp/4883172996/ref=nosim/?tag=kagura0c-22


☆アナタも帰還限界点に参加しませんか?==================

帰還限界点はシェアードワールドです。

複数の著者が同一の世界設定や登場人物を共有して創作する作
品群となっています。

ですが、若干のルールはあります。

公式ホームページでも詳細を説明しておりますので、是非ご覧
ください。

http://otjyuku.net/pon/

☆感想・問い合わせ======================================

ご感想・お問い合わせはコチラのフォームからお願いします

http://www.formpro.jp/form.php?fid=36224


☆======================================================
雨宮瞬壱
メールアドレス: kagura-info@r6.dion.ne.jp
ウェブサイト: http://otjyuku.net/pon/

☆======================================================
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
配信中止はこちら 
☆======================================================

無料メルマガ登録 !

帰還限界点◇連載小説

シェアード・ワールド『帰還限界点』にようこそ!皆様、はじめまして。主催の雨宮瞬壱です。今回は、その作品群の一つ『Real-Side』を小説で連載いたします。是非参加してみてくださいね♪
メールアドレス:

Powered by アルファポリス

Powered by
Movable Type 3.35