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第03号 邂逅

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    週刊「帰還限界点 連載小説」

☆============================= 第03号 (2008/09/14)=====


『目覚め』(第1話 -3- 邂逅)


 乙夏が駅の北口に着いたときには、すでに11時15分を廻
っていた。
 神代駅はさして大きな駅ではないが、大層な駅ビルの内部に
あるため、二階の改札口に入るには北と南を繋いでいる、通称
〈伊賦夜(いぶや)通り〉を抜けなくてはならなかった。
「ここを、抜ければ、要石、だ……」
 息が完全に上がってしまい、肩で息をしながら上る階段は、
乙夏に何百段にも感じさせていた。人通りの多い伊賦夜通りで
ありながら、誰一人として乙夏を気に止める人がいないのは好
運なのか、社会が不幸なのか。どちらにせよ、急ぐ乙夏にとっ
ても他人を気にする余裕はなかった。
 だが、急ぐときほど妙な奴に捕まるものだ。
 女子高生がすれ違いざまに、走る乙夏の腕を掴み引き留めた
のだ。
 引き留めてきた彼女は、後ろで髪をまとめ、活動的な雰囲気
を見せる。基調となる千歳茶に純白の襟と緋色のリボンが映え
る制服を着ており、チェックのスカートはかなりの短さである。
神代高校以外の生徒だろうが、そんな事は問題ではなかった。
 いつもならラッキーとでも考える乙夏だが、今はそれ所では
なかった。
「放せよ!俺、急いでるんだよ!」
 女性には優しく、が信条の乙夏であるが、焦りのため強い口
調になっていた。しかし女子高生は手を放すどころか、乙夏を
引き寄せ耳元で囁きだした。
「あたしは、Q、Z、L、B、M、W、L、と書いて、QZL
(クズル)‐BMWL(ビメヲル)。
 あたしの本名が分かったら、助けてあげる……」
 言うと彼女は乙夏の頬に軽く唇を触れ、「まってる」と言い
残して乙夏を解放した。
「おい……」
 乙夏はそれだけ言うのがやっとだった。
 人混みの中心で、しかも初めて会った女性から頬にキスをも
らったのだ。加えて言うなら意味深な言葉、と言うか乙夏には
全く訳の分からない事を囁かれている。乙夏は完全に混乱して
いた。ただ、QZL‐BMWLと名乗った彼女の後ろ姿が心に
焼き付いていた。
「なんなんだ、あの女……」
「なに?あの女!」
 自然と口を突いて出た独り言に知った女性の声が連なってき
た。
 その声に乙夏の身体は素直に反応した。一瞬で背筋に冷たい
ものが流れてきたのだ。そして振り返るより速く、背後から乙
夏の首が絞められた。
「今日はデートのはずよねぇ~
 な・ん・で、逆ナンされてる暇があるのかな~
 ん~?」
 当然、乙夏に答える術もなく、苦し紛れに腕を振りほどく事
がやっとであった。
「な……七月(なつき)っ!俺をっ殺す気かっ!」
 そう、彼女の名は〈湊(みなと) 七月(なつき)〉。乙夏の幼
なじみの一人で、咲夜と乙夏をつき合わせるきっかけを作った
人物である。行動からしても男気質で、制服以外でスカート姿
を見た事がないほどである。現に今もジーンズに黒のハイネッ
クシャツ、その上からベストを羽織った姿での登場である。
「そんな事はど・う・で・も・いい!
 咲夜を泣かせたら承知しないよっ!」
 幼なじみの気安さの中に命令的な感を含ませた口調で投げか
けられた言葉に、乙夏は先ほど以上に背筋が冷たくなるのを感
じた。
 時刻は11時20分を既に過ぎていた。




(つづく)

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 今回のキーワードとキャラクターは、

〈神代駅〉〈伊賦夜通り〉〈QZL‐BMWL〉〈湊 七月〉

 この四つですね。

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 ちなみに、このReal-Sideという作品は、リレー小説の形式を
取っています。
 つまり、毎話ごとに書き手が異なるのです。
 第2話からは雨宮ではない別な作家さんが引き継いでくれます。

 と、まぁ、こんな感じで、このメルマガ自体でさえ、シェアし
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 引き継いで書いてみたいという方は是非、参加フォームから
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