第02号 夢現
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週刊「帰還限界点 連載小説」
☆============================= 第02号 (2008/09/10)=====
『目覚め』(第1話 -2- 夢現)
「俺は止めるぅ~!」
乙夏は、叫び声を上げると同時にベッドから転げ落ちた。
床がフローリングであるにも関わらず、音も無ければ身体に
痛みも無かったもは、良く干されたふかふかの布団のおかげと
言う事か。
寝ぼけ眼を擦りながら周囲を見回すと、散らかったテーブル、
その奥にある漫画と教科書が乱雑に詰め込まれた本棚、本棚と
壁に挟まれ斜めに置かれたTVとビデオデッキ他オーディオ機
器、壁に掛けられた日めくりカレンダー、そこは紛れもなく自
分の部屋であった。
「夢……か?」
床に転がった目覚まし時計を手に取り、『また無意識のうち
に止めたのか……』などと思いながら時刻を見ると午前11時
をすでに回っていた。
「うっ……わぁぁぁぁぁぁっ!
完全に遅刻じゃねぇかぁぁぁ!」
弾かれる様に飛び起きた乙夏は、慌てて先日寝る前にめくっ
ておいた日めくりカレンダーに目をやると、真っ赤な23の文
字が飛び込んできた。
そう、今日は12月23日木曜日、天皇誕生日で祝日だった
のだ。
「は……はは、今日は休みじゃねぇか、大馬鹿ヤロ~が!」
焦った自分に腹立たしくも、休みで良かったと言う安堵感と
が混在し、今は笑う他無かった。
しかし、その安堵感はあっさりと消し飛んだ。カレンダーに
書かれた、いや、自分で書いた言葉を見つけた事で……
「ん……〈今日はデート〉?」
言葉を声にした瞬間、乙夏は凍り付いた。
固まって動けなくなった身体と同様、頭の中は〈今日はデー
ト〉と言う言葉がぐるぐると回り、思考が停止していた。
「ノォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
彼女との約束の時間は一一時。すでに遅刻といえる状況だ。
『まだ間に合う……か?』
一縷の望みに全てを懸け、乙夏は慌ただしく着替えを済ませ
るとがらんどうな家を飛び出した。両親が外国暮らしというの
は何かと便利だが、こういう場合は別だと乙夏はしみじみ感じ
ていた。だが、そんな事に想いを馳せている暇もないのだ。
「くそっ!
こんな事なら〈要石〉なんかで待ち合わせするんじゃなかっ
た!」
翌日はクリスマス・イヴと言う事もあり、乙夏は彼女〈八百
(やお)威(い) 咲夜(さくや)〉との待ち合わせに神代駅南口広
場の待ち合わせスポットである〈要石〉を選んでいた。
いつもは乙夏宅の近くを流れる〈泣沢女(なさわめ)川〉を渡
ったマンションから咲夜が迎えにきてくれたのだが、「今日く
らい」などと口走って待ち合わせをしてしまった事を乙夏は今
更ながら後悔していた。
「あぁぁぁぁ~!
このままじゃぁ夢が正夢にな……る?」
今時珍しく自転車に乗れないと言う特技のため、自分の足で
走らざるを得ない乙夏は、なりふり構わず喚いていた。しかし、
自分の言ったフレーズに足を止め、来た道を振り返っていた。
『何か……おかしい。
この道、見覚えがある……』
乙夏にとって、この町の風景はいつもと変わりがない。しか
し、何かが違っていた。
既視感……
そんな言葉が乙夏の中に漠然と浮かんできた。
だが、乙夏は思いも言葉も打ち消した。
「んなワケねぇ~か!」
乙夏元来の真剣味の無い性格が、自分が感じた素直な、そし
て正確な感覚を殺していた。
そのため、乙夏が肝心な事を思い出すのはまだ後の事となる。
(つづく)
☆お知らせ==============================================
〈要石〉〈八百威 咲夜〉〈泣沢女川〉をアップします。
是非、見てくださいね。
キャラ説明 http://otjyuku.net/pon/chara.html
キーワード http://otjyuku.net/pon/faq.html
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帰還限界点はシェアードワールドです。
複数の著者が同一の世界設定や登場人物を共有して創作する作
品群となっています。
ですが、若干のルールはあります。
公式ホームページでも詳細を説明しておりますので、是非ご覧
ください。
http://otjyuku.net/pon/
☆感想・問い合わせ======================================
ご感想・お問い合わせはコチラのフォームからお願いします
http://www.formpro.jp/form.php?fid=36224
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雨宮瞬壱
メールアドレス: kagura-info@r6.dion.ne.jp
ウェブサイト: http://otjyuku.net/pon/
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発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
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寝ぼけ眼を擦りながら周囲を見回すと、散らかったテーブル、
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壁に挟まれ斜めに置かれたTVとビデオデッキ他オーディオ機
器、壁に掛けられた日めくりカレンダー、そこは紛れもなく自
分の部屋であった。
「夢……か?」
床に転がった目覚まし時計を手に取り、『また無意識のうち
に止めたのか……』などと思いながら時刻を見ると午前11時
をすでに回っていた。
「うっ……わぁぁぁぁぁぁっ!
完全に遅刻じゃねぇかぁぁぁ!」
弾かれる様に飛び起きた乙夏は、慌てて先日寝る前にめくっ
ておいた日めくりカレンダーに目をやると、真っ赤な23の文
字が飛び込んできた。
そう、今日は12月23日木曜日、天皇誕生日で祝日だった
のだ。
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焦った自分に腹立たしくも、休みで良かったと言う安堵感と
が混在し、今は笑う他無かった。
しかし、その安堵感はあっさりと消し飛んだ。カレンダーに
書かれた、いや、自分で書いた言葉を見つけた事で……
「ん……〈今日はデート〉?」
言葉を声にした瞬間、乙夏は凍り付いた。
固まって動けなくなった身体と同様、頭の中は〈今日はデー
ト〉と言う言葉がぐるぐると回り、思考が停止していた。
「ノォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
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ていた。だが、そんな事に想いを馳せている暇もないのだ。
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こんな事なら〈要石〉なんかで待ち合わせするんじゃなかっ
た!」
翌日はクリスマス・イヴと言う事もあり、乙夏は彼女〈八百
(やお)威(い) 咲夜(さくや)〉との待ち合わせに神代駅南口広
場の待ち合わせスポットである〈要石〉を選んでいた。
いつもは乙夏宅の近くを流れる〈泣沢女(なさわめ)川〉を渡
ったマンションから咲夜が迎えにきてくれたのだが、「今日く
らい」などと口走って待ち合わせをしてしまった事を乙夏は今
更ながら後悔していた。
「あぁぁぁぁ~!
このままじゃぁ夢が正夢にな……る?」
今時珍しく自転車に乗れないと言う特技のため、自分の足で
走らざるを得ない乙夏は、なりふり構わず喚いていた。しかし、
自分の言ったフレーズに足を止め、来た道を振り返っていた。
『何か……おかしい。
この道、見覚えがある……』
乙夏にとって、この町の風景はいつもと変わりがない。しか
し、何かが違っていた。
既視感……
そんな言葉が乙夏の中に漠然と浮かんできた。
だが、乙夏は思いも言葉も打ち消した。
「んなワケねぇ~か!」
乙夏元来の真剣味の無い性格が、自分が感じた素直な、そし
て正確な感覚を殺していた。
そのため、乙夏が肝心な事を思い出すのはまだ後の事となる。
(つづく)
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